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『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を読んで―その24 [『日本はなぜ、「基地」と「原発」を・・・』]

   その24

 《 PART4 安保村の謎②-国連憲章と第2次大戦後の世界》(6)

 PART4はあと3節残っています。日本が国連の「敵国」として特殊な事情にあることについての海外の見方と、同じ境遇から戦後の国際社会を歩み始めたドイツとの比較をここで述べています。

フランスの法学者たちの見解


〈戦後世界において日本に与えられた国際的地位というのは、本当にきびしいものだった。
 常識的に考えると、国連に加盟した時点で、その差別的な法的地位は消滅するはずで、日本は国連の予算(分担金)の10%以上を1カ国で負担していることもあり、もう国際法の中に「敵国」など存在するはずがないと思いたくなる。
 ところがそうではない。最も信頼できる国連憲章の解説書である『コマンテール国際連合憲章』(東京書籍)によれば「学説は分かれる」となっている。
 つまり、敵国条項は「死文化している」という説もあるが依然として効力をもっているという説もあるということだ。
 次のような記述もある。
「ソ連をふくむ連合国は敵国条項第107条にもとづく権利を、少なくとも西ドイツとの関係においては放棄したように思われる」別の箇所にはこうも書かれている。
「(西ドイツの行った)東方政策の諸条約は、西ドイツと東側の隣国との関係において、敵国条項第107条を、そして第53条をも無効にした」
 ところがその一方、日本についての記述はどこにもない。ということは、日本に対する敵国条項の効力は、依然として存在している可能性が高いということだ。〉

ドイツの「独立」までの歴史

〈ドイツは第二次大戦後、広大な領土をポーランドやフランスに割譲することを認め、国家としての「謝罪外交」も展開し、必死になって「過去の克服」を行うことで「新しいヨーロッパ」の中心国としての地位を固めていった。
 戦後、わずか6人の首相によって達成されたその「独立」までの歴史を、ごく簡単に説明する。
 まず、戦後最初の首相となったコンラート・アデナウアーは、徹底した対米従属路線を強いられることになるが、そうしたなかでも彼は
「新しいドイツ人は、断固たるヨーロッパ人たるべきだ。そうすることによってのみ、ドイツは世界に平和を保障される」という明確な国家方針を打ち出し、揺らぐことはなかった。
 その後、第4代首相となったビリー・プラントは、「東ドイツの事実上の容認」と、「ハルシュタイン原則(東ドイツと国交のある国とは外交関係を結ばないという、それまでの基本方針)も完全撤回」に踏み切った。
 さらに「ドイツとポーランドの国境」についても、大きく譲歩することを認め、領土問題にも決着をつけた。1970年にはポーランドの首都ワルシャワで、ユダヤ人ゲットー(強制居住地区)の跡地に跪いて献花し、ナチスによるユダヤ人虐殺について心からの謝罪を表明した。
 第5代首相のヘルムート・シュミットも、周辺諸国との融和政策を推し進めた。日本の外交問題について意見を求められると
「日本は周囲に友人がいない。東アジアに仲の良い国がない。それが問題です」と、同じ敗戦国だったドイツからの心からの助言をしてくれた。
 第6代首相ヘルムート・コールは冷戦終結のチャンスをとらえ1990年9月12日に戦勝4カ国(米英仏ソ)と東西ドイツの間で事実上の「講話条約」(通称2プラス4条約)を結び、敗戦国としての名残を全て清算することができた。そして翌年10月3日のドイツ再統一、さらに1993年11月1日のEU創設へと突き進むことができた。
 1990年に結んだ「2プラス4条約」にもとづき、米英仏ソの駐留軍はすべて1994年までにドイツから完全撤退していった。現在ドイツに残っている米軍は、基本的にNATO軍としての制約のもとに駐留しており、ドイツの国内法が適用されている。
 こうして日本と同じく第二次大戦の敗戦国だったドイツは、長く苦しい、しかし戦略的な外交努力の末、戦後49年目にして、ついに本当の意味での独立を回復することができた。〉

経済は世界第3位、国際法上は最下位の国

《それにひきかえ日本は、ドイツのように周辺諸国に真摯に謝罪し、「過去の克服」をおこなうのではなく、戦後まもなく成立した冷戦構造の中、米軍基地の提供と引き換えに、外交と安全保障を全てアメリカに任せっきりにして、国際社会への復帰を果たしました。》で始まる日本についての解説は非常に重要であり、また簡潔にしてこれ以上まとめる余地がないので、本文をすべて引用することにします。簡素化のため文末の「です・ます体」を「だ体」に変えるのみとします。
〈講和条約に通常描かれるはずの敗戦国としての戦争責任も明記されず、賠償金の支払いも基本的に免除された。そして過去に侵略をおこなった韓国や中国などの周辺諸国に対しては、贖罪意識よりも、経済先進国としても優越感を前面に押し出すようになり、戦後70年の間、本当の意味での信頼関係を築くことが、ついにできなかった。
 その結果、日本は世界でただ1国だけ、国連における「敵国」という国際法上最下層の地位にとどまっている。日本全国に駐留し、国内法を無視して都市の上空を飛びまわる在日米軍がその証しだ。いまだに軍事占領がつづく沖縄と、横田、厚木、座間、横須賀など、首都圏を完全に制圧する形で存在する米軍基地、そして巨大な横田空域がその証しだ。そんな国は世界じゅう探しても、日本以外、どこにも存在しない。
 アメリカに従属していれば、その保護のもとで「世界第3位の経済大国」という夢を見ていられる。しかし、ひとたびアメリカから離れて自立しようとすれば、世界で一番下の法的ポジションから、周辺国に頭を下げてやり直さなければならない。それはまさに戦後の西ドイツが歩んだ苦難の道そのものだ。
 いまさらそんな大変なことはやりたくないし、そもそもどうやっていいかわからない。だから外務省が中心になって、米軍の駐留継続をみずから希望し、ありもしない「アジアでの冷戦構造」という虚構を無理やり維持しようとしている。それが現在の「戦後日本(安保村)の正体」なのだ。〉

 まったく矢部先生のご指摘のとおりなんだと思います。「アジアでの冷戦構造」なんか、ありもしない虚構なんですよ。隣国の脅威を誇張することによって、米軍の駐留も、米軍との共同行動も正当化しようとしているわけです。このあたりが世界の視点とは著しくずれていると思われます。
 そんなことより、つまりいつまでもコバンザメをやっていることより、はやく自立・独立して近隣諸国と平和友好条約を結んで東アジアを平和な地域にした方が、よほど日本のためでもあり、世界のためでもあると思うのですが、日本の指導者は、70年変わらず、アメリカの威光を背景に、日本を統治してきました。

 ドイツが戦後6人の首相によって現在の地位を築いてきたことに対し、日本は三十数名も関わっていて、このザマです。この違いはなんなのでしょうか、ここをよく反省しなければならないと思います。
 やはり、日本人は島国根性から脱していないのではないでしょうか。外国が遠くて、島が自分たちの世界なんですよ。その世界の中で立身出世することが大きな生き甲斐で、総理の座を狙ったり、それが無理なようならば大臣の座を狙ったりして生きている政治家が多いのでしょう。また、それをもてはやす人が多いのでしょう。
 外の世界との関わりは二の次なんですよ。
 一方ドイツはヨーロッパの中で揉まれながら国の営みをやりつづけてきたから、そこでの名誉回復、地位向上が大事なことは、国民にとっても政治家にとっても、当然すぎるほど当然なのでしょう。
 情報や物資、人間の移動がこれほど容易になって世界が狭くなっているのに、いつまでも「島国根性」で生きていたのでは、本当に、広い世界をわたってはいけません。広い世界で、こびることなく、威張ることなく、固まることなく、胸を張って、背伸びをしないで、日本人の素晴らしさが滲み出てくるような、そんな国の歩み、人の生き方をするようにしようじゃありませんか!

 そんな感想を持ちました。

 まだ、PART5があります。《最後の謎》と題されています。乗り掛かった船ですから、もう全部行っちゃいます。また、間をおいてになりますが、悪しからず…
 またしても、長いものにお付き合いいただきありがとうございました。
 おまけの写真も今宵は用意できず m(_ _)m

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トックリヤシ

う~むなるほど・・・、
想像以上に傷は深いんですね。
このままの現政権下では致命傷にもなりかねませんねvv;
by トックリヤシ (2015-11-28 13:13) 

momotaro

トックリヤシ様
傷の深さ、病の重さをよく認識して、生活習慣(政治・行政の在り方)を改めて摂生していかないと、ほんとに致命的になってしまいますよね。
いつもコメントをありがとうございます。
by momotaro (2015-11-28 14:53) 

SUN FIRST

かねてから、「世界の中の日本」、この国の位置づけ=程度について質問をし、申し述べをしてきましたが、今回のブログの発表で疑問が解け整理が出来ます。
関係諸国に謝罪もしないで平気な面の国など国際社会が取り合ってくれるはずは無いと思ってきました。
言わずもがな、知れたことです。
世界標準での評価は、「知らぬふりをする日本」でしょう。
Abを総理と担いで、その総理にずるずるとやられっぱなしの日本なぞ世界中の笑いものになっているのだと思いますよ。
恥を知りましょう!
XXXXXXのなすことを日本国民の半数以上は反対しているんだという世界に向けてのPRを今後も続けることに誤りはありません。
必要なことは「慙愧」することだと思っています。

by SUN FIRST (2015-11-28 18:06) 

majyo

こちら出先で拝見していました。
理解するのも大変なのにまとめるのはもっと大変です
しかし同じ敗戦国であり国連の敵国であるのに
二つの国の戦後はおおきく違いますね最近でもメルケルさんは、原発関係でもアドバイスしているのに
アベさんは馬耳東風。
本当に恥ずかしいです。


>こびることなく、威張ることなく、固まることなく、胸を張って、
>背伸びをしないで、日本人の素晴らしさが滲み出てくるような、そんな国の歩み、
>人の生き方をするようにしようじゃありませんか!

パチパチ拍手! まったくそう思います。これに尽きますね
今日の記事にこの記事をリンクしました


by majyo (2015-11-28 19:10) 

momotaro

SUN FIRST 様
矢部氏が書き、私が解説させてもらっている(勝手にですが)ことと、日本つまり安保村の常識とがかけ離れていることが問題なんですよね。
まずは隔たりを埋めなければ…と思っています。
政治家と選挙民の島国根性について書きましたが、官僚の負け犬根性について書き忘れていましたので、明日追記します。乞うご期待!
by momotaro (2015-11-28 22:00) 

momotaro

majyo 様
パチパチ拍手をいただきありがとうございます。
> これに尽きます
でしょう? ハハハハ、おバカはおだてに乗りやすいんです!

貴重なブログ記事でご紹介&リンクして頂き感謝しております (^_-)-☆
by momotaro (2015-11-28 22:09) 

ファルコ84

日本のリーダー達は
目の回るがごとく代わり
我が国の名誉回復や謝罪を
明確にやってこなかったのが
ドイツとの違いですね!
ただただアメリカの傘に隠れ
憲法9条に守られ
産業回復に励んできた。
momotaroさんの言われる通り
>日本人の素晴らしさが滲み出てくるような、そんな国
にすべく国民一丸となって
頑張っていきたいですね。
それにしても
歴代・・・現政権の行く末には
期待が持てない
末恐ろしさすら感じます。
嘆かわしい。
by ファルコ84 (2015-11-28 23:58) 

momotaro

ファルコ84様
現政権、確かに末恐ろしいですねー
次から次へと、本当に遠慮がないですからね
いつ止められるか?それが問題ですね
共に頑張りましょう!
by momotaro (2015-11-29 01:10) 

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